ホーム Accueil

1.上陸
   2回目の上陸
   ケイタイ

2.交通公社で
   少女の心

3.大人の自覚.その1
   大人の自覚.その2ロンドンで
4.衣食住.その1衣
   くだらないテレビ

5.不動産.その1
   イケメンって?
   不動産.その2

6.居酒屋を出れば
   衣.食.住.食ついでに住

7.エコをしてますか
   警察官の仕事

8.食堂から消えた物
   温泉フルコース

9.ナニーが行く
   情けないリアンヌ
   女の乞食

10.物騒な世の中
   追記―婚活よりも活婚

番外編

番外編その2

2010年   NEW

反響を呼んでいます!!

ご意見、ご感想のある方は
次のアドレスを小文字にして
お送りください。

OBATARIANNE@FREE.FR まで !


大人のための新しいネットワーク「club willbe」








                          


仏相な世の中、日本の中

―フランス在住ただいま帰国中―
                                                                                            小畑 リアンヌ



番外編その2

ー女の生き方ー

「仏相な世の中」を続けてほしいというお声を戴いた。ありがたい。こんなつたない独り言を読んでくださる人がいるだけで励みになる。生きていたいと思う。ちょっとオーバーかな。

時は2009年10月秋、以前にも書いたかもしれないが、「おひとりさま」には雑草がぼうぼうと生えた庭が残った。その庭には二階建ての家の高さをはるかに飛び越える二本の樫の木がいつの間にか庭中いや敷地中を埋め尽くしている。

しかも性質(たち)が悪いのは「どんぐりこ」である。
ええっ、何故どんぐりこが、とよく言われる。

「どんぐりころころどんぶりこ、お池にはまってさあ大変、、、」とこっちものんびり唄っていたいのだが、そんな場合ではない。なんと200Lのゴミ袋に
3倍分は毎年出てしまうので、垣根の剪定、枯れ葉集めにどんぐりこ拾いでは、実際身が持たない。そこでどんぐりこが食料にならないかとひそかに焼いて食べても見たがまずかった。小さな虫も入っている。首飾りも出来ない。エネルギー利用にもならない。何か方法があるのなら教授していただきたい。

そこで、安い、たまたまチャイムを鳴らした業者というより、失業中の個人に意を決して伐採をやってもらうことに決めた。

フランスではこういった仕事のことを「黒の仕事」と呼んでいる。つまり無許可の仕事となる。こちらでは一時間でも働けば一時間分の税金、健康保険料、年金保険料、その他を取られると話したかも知れないが、この場合お互いの暗黙の契約で彼の方は税金の申告はしない。こちらはその分安く雇うことが出来る。ということになる。でも、本当はお上にバレればこちらも罰金なのだが。まあ、いいか。

だがその甘い考えはあとで大間違いだと気付かされた事をこの場を借りて書かなければいけない。最初 、彼は活き込んで100ユーロでそれぞれの木の枝を二、三本だけ残して切ってやるよといったのだが、手たらわずの口剣、とんでもない。
ビール樽のようなお腹の御仁には五、六本切ったあとで、言葉にもなくもう
ダウン。 しかもこんなこことをいい始めた。

   「この仕事は本当は200ユーロ以上の仕事だよ」-それじゃ最初から言え。お前なんか雇わない。

   「僕は本当はプロのペンキ屋でね」-来た、来た。

    「もし、テラスのペンキの塗り替えを250ユーロでやらしてもらえるのなら続けてもいい」-こう来るだろうと思っていた。

    「電気のこぎりのオイルが切れた、買いに行かなければならないので、まず50ユーロをくれ」

    「よかったらエビアンかペリエをここにおいてもらえないか。コーラがあればもっといいのだが」四、五本飲んだ後、

    「のどが渇いたビールが飲みたい」-ここは飲み屋じゃない。

    そんな注文まで出る始末。

    調子に乗ってもらわれては困るし、独りであることなど知られてもまずい。枝はそのまま残して彼には帰ってもらう事にした。その為また100ユーロを取られた。合計150ユーロでわずか何本かの枝を切ったに過ぎなかった。

    それからは庭一面に散らばった枝をコツコツと約二週間かかって、こまかく切り分け、近所のおっちゃんたち二人を利用してごみ収獲場まで運んでもらうことにした。こんなことなら最初から自分ひとりですべきだったと反省している。

    そんな時、パリにいる友人にそのことを話したら、

「日本には便利やさんがいるのよ。何でもやってもらえるのよ」

    「だから、日本の独り暮らしの女性は困らないのよ」-へえ、そうなんだ。しかも振り込め詐欺にあわないように警察官まで助けてくれるのだから安心ってことか。

    「しかも寡婦年金貰っている母親は市役所にこんなに貰っていいんですかと聞きに行ったのよ」と本当かどうかの話をしていた。

    フランスでは確かに寡婦(夫)年金もある。だが日本と比べればかなりシステムが違う。この話はいずれどこかで書きたいのだが、今は話を戻そう。

    「そうなんだ。今度は水道工事なんだけど、信用して頼める人がいない」私は殆どの家のことは出来るようになったが、電気配線と水道工事は出来ない。

    「小畑さん、いい加減そろそろ本当のことを言ってくださいよ」

    「えっ」

    「出来るはずないでしょう。大工仕事なんて」

    「ウ、ウ、ウ、信用されていない」

ここで、初めてであるが今ガレージに作りかけのカーブを写真付きで紹介したい。水道管以外は全部自分一人でした。レンガその材料を買ってきて、セメントをこねて積み上げ、ドアをつけ、流し台を取り付け、カーブの床タイルを引いた。

    これをやるときは本当に身も心も自分はいったい何者なんだろうと思うほど打ち込んでしまう。「キタナイ」つまり乞食同然の格好で作業服を着て打ち込んでしまう性格なので誰にも尋ねてきてほしくないぐらいである。

    一度こちらのハローワークで仕事がないのなら「左官屋が出来る」と言って手を上げたが決して信じてもらえなかった。今はケーブルを買ってきて電気の配線もスイッチ取り付けも自分でやろうと決心した。実際暖房器具(後にはコンセントはついていない裸の配線である)はインターネットで購入し、自分で取り付けた。人間にはやれないことはない。確かに腕の力は男性には勝てないが、
てこの利用やアイデアでドアを持ち上げている。そしてどうしても出来ないときは人を頼んでいる。

    近所のおっちゃんは喜んでやってきて手伝ってくれるが、未だにお礼はしていない。フランスでは出来るものがやればいいという考えがあるので、
「御返し」なんていうものにそんなに真剣に考えなくてもいい。いつか彼らが困って頼んできたら出来る範囲でやればいい。


    話は変るが数日前、日本からの伝送の「クローズアップ現代」で39歳の若い
男性が家で「餓死」していたというルポタージュが放送された。自分から死を選んだと言うよりも彼はどこかで生きたかったに違いない。これを見て心を動かされる日本人は多いはずだ。

    ショックではないか、第二の経済大国が何をしている。しかも昔から神道、仏教、カトリック、儒教、何でもこいの教えの日本だよ。 本当に何も出来ないのだろうか。

   政権は変ったと喜んでいるが、私が以前出会った民主党の人は大臣になったと聞いた。補正予算のやり直しや色々これからかもしれないが、今急いでやらなければならないこともあるのではないだろうか。外に目を向けている場合ではないような気がする。誰でもが駆け込める場所をすぐにでも用意できないものだろうか。

   「こちらは、命の電話を掛けN°53(かけごみ) 寺です。いざというときは何でもSOS 505番」とかね。

    亡くなった39歳の彼は結局、誰にもすがりつかず、生活保護も受けず、冷蔵庫は空っぽで、持ち金がたったの9円だったと放送していた。

これを「自業自得」と見る日本人か、「世の中、日本の中がおかしい」と見る日本人かこれこそ真を問いたい。

     昔、おぼろげながらに覚えていることがある。母が話してくれたことである。

「戦後、お金が一銭もなくて、子供はお腹がすいたと、かわいそうだが死のうと思ったとき近所のおばちゃんがどんぶり一杯のご飯を持ってきてくれた」何度か耳にたこが出来るほどこの話を聞いた。彼女にとっては一生忘れられない大切なことだったのかも知れない。

     そんな時代の中でも今度は「ねずみ講」と言うものがあって近所からお金を集め、裕福に暮らしている人もいた。実際にはそのお金は有効に使っていなかった。あるとき、その人は夜逃げをしてどこかへ行ってしまったらしい。母は預けるお金がなかったので、被害はなかった。でも今度は親切にしてくれた
おばちゃんがかなりの被害にあった。母は仕事を始めていたので、彼女を助けた。いつの世の中にも他人のお金を利用してトンズラするやからはいるものだ。

でも、すぐには「ありがとう」とは言えないまでもいつかは返せるときが来るのかもしれない。

    幸いにも、フランスの片田舎では3年以上の失業保険が出て、150ユーロのお金で庭木の伐採を頼める人間も居る。あまり買い物をしなくなったが、それなりに生活はできる。

    フランスでは自分の家を持っていても生活に困れば生活保護が誰でも受けれる。学生も受けれる。この不況の中、以前までは25歳以上と言う生活保護制度が今回見直されて何歳からでもOKが出ることになった。学校は出ても働く口がなければ仕方がないことだと思う。

    それを日本のように「勝ち組」「負け組」などという言葉で表さないでほしい。いまや世の中はどんなに実力があっても自分ではどうにもならないこともある。

素直に「困った、助けてほしい」といえる社会になれないものだろうか。

   そんな中、人間到る所青山ありかもしれないが、パリに進出した日本の大手
洋服店が大いに社会を賑わしているらしい。しかも
2020年までに売り上げを5兆円にするといきがっているが、何代か前のフランス大統領の言葉を借りて
「エ、アロー(それで)」と言いたい。

売り上げをそこまで伸ばしたって、それはいったい誰のため?日本国民?
フランス国民?製作している国の国民?中国?インド?それとも企業自身のため?でも本当は後で糸を引くごく一部の人のためでしょう。その選ばれた人種?がいまや日本人だけとは限らない。グローバルと言うお墨付きがあるのだから。

    日本の800兆円を越す借金国債(女が少ない政治家の国だからね。女がお金を握っていたら、へそくりは作ってもこんなに借金は作らなかっただろうけど。まあ、前前前の、前前の総理大臣のときの経済大臣は大田さんだったけどね)を日本人が買っているって誰が言える。

    もしかしたらいつか日本国自体が市場に出されて、

「さあ、さあ、良き国民性、まじめな国民、技術を持っている国民、どうですか買いませんか」ってバナナの叩き売りのように競に出ている可能性だってなきにしもあらず。

    いい物を安く作ってほしい。それは誰でも願っていることだけど。H&Mや
ZARAを市場原理で抜いたって私にゃ関係ない。

「パリは世界の市場」とおっしゃる企業さん、でも今まで買っていて、悪いがこれから一人で購入のボイコット をさせてもらいます。すみません。
人間の原理で何兆円の ナノの世界の話かもしれませんがそんな足しにもなりたくないので。

    フランスのことわざに

    Ce que femme veut、Dieu le veut

ってあるんですよ。つまり女が望むことは神も望むってね。