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番外編

番外編その2

2010年   NEW

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大人のための新しいネットワーク「club willbe」




仏相な世の中、日本の中

―フランス在住ただいま帰国中―
                                                                                            小畑 リアンヌ



-エコをしていますか-

 大阪へ到着した時、まだ残暑で厳しいものがあった。ムーとするいつもの日本、しかし6年前よりはっきりと暑くなっていると肌は感じていた。私のように浦島太郎になるといつも日本に住んでいる方よりもその差は格段にわかる。本当に昔に比べて暑くなった。

 温暖化対策、世界がひとつになろうとした京都議定書ではアメリカ、中国、ロシア、など一番CO2を出し続けている国が賛同しなかった。日本もそうは言いながら逆にCO2が増えているのが現実だろう。

 アツイ。日本の国は本当にアツイ。

そんな中、クールビズとかホットビズのように日本でもCO2を押さえるため国を挙げて頑張っているのはいいことだ。なのにちっともCO2は減らない。

「ストップ。」

 このごろ世界で変なことをするのが流行っている。一瞬みんなが止まるのだ。まるで写真のように。誰も動かない。これは面白いことだと思う。じゃあ、クーラーも一瞬止めてみるのはどうだろう。月に何回か日本中で同じ時間に。

 友人が貸してくれているマンションにもクーラーは勿論付いている。でもどんなに暑くとも殆どかけない。それこそブラジャーに半パンツの格好で過ごすことにしている。息子が居ったって、海岸に散歩に行っているつもりでいればいいのだから。彼も、パンツ一枚でテレビを見ている。

 体質的にエコの人間なので変なところにこだわりがある。フランスの家では庭の奥に200Lぐらいのコンポスターと言うものを置いている。つまりあまった野菜などを入れておくものだが、下から腐葉土的になった野菜を取り出して家庭菜園を楽しんでいる。

それ以外は市のごみ出しは週に二回だがゴミ箱はみっつ。ひとつは普通のゴミ用、もうひとつはプラスチック、缶と紙用、そして瓶用となっていて、粗大ごみの日が年に二回、緑のごみの日が(芝刈りをした後用)で春と秋に集中して12回。

それ以外にはいつでも捨てに行けるごみ収獲場があり仕分けして自分でその他の木材やセメントなども捨てられるところもある。

 スーパーにも必ず同じようなごみ場が設けられ、乾電池やその他の回収も行っている。これってもう世界中の先進国はやっていることなのだろう。でも日本ほど家庭でのペットボトルの仕分けもしないし、洗わないし、適当なところがある。

 CO2に関して言えば、このごろやっとフランスでもクーラーは増えては来ているが、もともと乾燥した夏にはクーラーなどはいらない。我が家にもまだない。夏の日差しは南仏なのでかなりキツイが、そのときは昼間よろい戸を閉め切ると言う作業をする。夕方によろい戸を開けるのだ。こうして暑い日差しを避ける。

 ところで、昔「OL」これももう古い言葉なんだろうけど、つまり会社員をしていたころ、よく御堂筋を歩いた。調度仕事場が淀屋橋だったので、仕事帰りぶらぶら歩くことを三日に一回はした。一人でどこまで歩いてたどり着けるか。歩くと楽しい、考え事が楽しさに変る。つまり変な性格なのかもしれない。

 今フランスでは本当に歩かなくなった。いつも車で移動する。自転車も4台持ちながら乗らない。恥ずかしいことだ。でも、フランスで散歩はあまり好きではない。危ないからだ。一人で歩けない状態になっていると言っても過言ではない。

 歩きすぎて、靴のかかとから血が出ていた。

 「すみません、足から血が出てますよ」とおばあちゃんから呼び止められた。すまなそうに、-でもおばあちゃんが謝ることないんですよ。

 フランスの靴が、このフランスの靴がこっちの気候に合わせていないだけ、そう、ストンキングを履かないで皮靴を履く癖があるから。ただのくつずれだった。

 「そこに、靴屋さんがあるから買うといいねん」

 「ありがとうございます。そうします」

 へえ、以外に声掛けてくれる御仁もいやおばあちゃんもいたことが嬉しかった。

 大阪には、本当にこれでやっていけるのかと思われる案外古い靴屋さん、帽子やさんがまだあった。うれしい。

 「この花の飾り取りたいんですけど」花柄は私には似合わない。

「いやあ、これ取ったら緩むから、とらへんほうがええんちゃう」

「それにもったいない」

「えっ」-損得の問題ではないが。

 黒一色にしたかったが、ま、いいか。

 サンダルを買った。いやツッカケを買った。850円、安い。しかもなんと日本製だったのだ。その日から毎日同じツッカケでどこへでもストンキングを履かないで出かけていった。

 

いつもは心斎橋まで来ると疲れて、地下鉄に乗ってしまっていたのだが、今回は心斎橋を何度か歩いた。いつものように人人人、なのに外を歩いているにもかかわらずスーと涼しい空気が流れてくるではないか。暑くない。むしろカーデガンが必要かなと思えるくらい。

 「むむむ、これはどういうことだ。」

しばらく人に合わせて歩いていると信号に出る。すると例のムーとする暑さは一段と強くなっている。また、商店街に戻ると涼しくなる。

なんと、なんと商店街のそれぞれの店が外に向けてガンガンとクーラーの冷気を送っていることに気づいた。

 どういうことだ。こんなことはフランスではありえない。絶対にありえない。CO2どうのこうのというならこんなことは本当にやめていただきたい。

フランスはレストランであろうと、未だにクーラーのない店もあるが、ドアは確実に閉めている。まして、洋服屋は分厚い硝子のドアで必ず閉めている。押すのが大変である。外のやからに、大気の中に、クーラーの冷気を送ってやってどうする。

不思議ではないか。利を思うより費を省いてほしい。何でこんな超無駄に誰も気づかないのか。これじゃいくらなんでもCO2が減らないわけだ。

アカンわ。

その代わりお金に物言わせて中国やインドなどの新興国からCO2を買い上げるのはいいかもしれないが。かの国はもうお金に関しては新興国でもなんでもない、立派な先進国だ。自分達でもCO2を何とかすることを悩んで考えさせる地道な努力の方が、そう、もとを言えば中国人が考えた人は人中、田は田中。その方が地球にはいいのではないか。 

 そういえば、娘が住んでいたシアトルへ行ったとき、1週間ぐらい娘のお世話になっているスペイン語の先生宅を貸してもらったことがある。彼らは調度クリスマス休みで逆にヨーロッパの実家に帰っているとのことだった。

家は映画“ホーム・アローン”を思い出すぐらいの立派なもので、庭にはスパまで付いていた。が、冬なのでカバーが掛けられていた。残念。借りる条件は出かけるときでも必ず電灯を家中つけておくこと。

何?どうして?フランスと違って彼らの家の窓にはよろい戸がない。夜でも留守でも電灯さえつけていれば泥棒よけになると信じて疑わない。怖がりのアメリカ人がよろい戸をつけないのだからね。簡単にガラス戸を壊していくらでも泥棒は入れる。というよりかそんなに心配なら電灯やアラームよりも別の対策がありそうだけど。

どこの家もみんな煌々と付いていた。しかもクリスマス商戦家中がおとぎの国のようにネオンで輝いている。盗難の保険も電灯がついていないと、こちらがミスを犯したと言う風に取られるから彼らにとっては無駄な明かりは当たり前だった。

 しかし、旦那はフランス的節約人間、脳の回線が同じではない。

居る間はいつの間にかサロンも入り口も台所も勝手にと言うべきか、「癖」で消しまくっている。笑ってしまった。私たちは小サロンの一室に固まり、そこでクリスマスを過ごした。

 アメリカ人も世界に何か言いたいなら地球温暖化を真剣に考える時期ではないか。そんなアメリカ人を真似ることはない。

ここでもまた、経済しか考えない国の思惑があり裏心が見えてこなくもない。地球のどこかに汚い、ごみ場所を作ったって、廃棄処理施設を作ったっていつか時の流れとともに、雨になり、川に流れて、海に届き、巡りめぐって自分の口にはいって来る事がわからないのだろうか。それが今日のグローバルではないか。まあこんなことをほざいている自分は口耳の学に過ぎないが。

 それよりも日本は真剣にサーマータイムの検討を始めてもいいと思えるのだが。ヨーロッパではもう当たり前になっている。

時間をずらすなんて身体によくないといわれるがそうとはいえない、もともと時間なんて人間が勝手に決めたこと、今や誰一人時計を見ないで過ごす人はいないだろう。誰一人朝日が昇ったからと目を覚まし、日が暮れたからと床につく人なんていないのだから。みんな目覚ましのおかげで動いてる。時は金なり。コツコツ動いている。明かりは金なり。さんさんと照っている。

 フランスはもともと年間を通じて一時間ずれている。夏になるとまた一時間ずれる。家中の時計を合わせるのは本当に大変である。でもあんな“とろい”フランス人でもやれる。無理も通れば道理になる。日本人に出来ないことはないと思う。やれないならフランスのように一年を通じて時間をずらせばいい。

同じ経度にいるオーストラリアと日本の時間は同じではないのだから。まあ、オーストラリアは広いから3段階で時間が違うが。シドニーは一時間ずれている。中心だって30分早めている。日本の研究者はもっと調べてほしい。これによるCO2削減は拡大すると思うのだが。一庶民の言うことには耳を傾けてもらえないだろうな。

 しかも外国に住んでいる選挙権がないと思われる一庶民だから。

サマータイムは悪くない、お天道様が登っているうちはこんなアルコリックな私でも飲みたくなくなる。スポーツがしたくなる。散歩がしたくなる。これって日本中から酔っ払いがなくなる効果もあるかも。

 

                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

-警察官の仕事 ?

 フランスでも日本の交番所(KOBAN)は有名である。世界中で雰囲気が怪しくなっている今の情勢で他の国も日本に真似て交番所の検討がされている中、日本の交番所は数を減らしているのではないだろうか。

 天満橋の近くの交番所に立ち寄ったことがある。外から見たら誰もいない。中に入るとやっと人の気配。のんびりお出でになったおまわりさんはまるでこちらを幼児扱い。

 「何かあったの」と聞いてくる。

 「話してご覧」-あのな、話があるから中に入った。

 「すみません、どうしてもある場所が見つけられないんですが」こちらも、おまわりさんでありながら、道順を尋ねる馬鹿な旅行者ではあるが。

 「ほら、そこに地図があるでしょう。それ見て」と指差した。

 でも、さっきから彼が出てこないうちに見ていてもわからないから、こっちも尋ねたのだが。

それにしても、あまり交番も役立つものではないから少しずつ減っていっているのかもしれない。ではなぜ、梅田の地下街の「小さな銀行」には二人のおまわりさんが入ってくる人をにらみつけていたのか。

銀行の警備員がいるだろうに。その為に、警察官が56千人体制で配置されるなんて、税金の無駄使いのような気がしてならない。振り込め詐欺撲滅に掛ける警察官のアツイ体制、これって異常だと気付きませんか。何か、他の事を隠して、こちらに焦点を合わせている対策にしか見えないのだが。

 いつかも書いたが振り込め詐欺がこんなに頻繁に騒がれているのは日本という国だけだろう。ありえない詐欺に引っかかる。騙された老人を攻めているつもりはない。だけど周りの家族がしっかりしてほしい。まあ、本人も少ししっかりしてほしい。私はフランスで騙されないように本当に必死だった。わからない法律用語を何度も読んだ。何か起これば身から出た錆、自業自得と自分に言い聞かせ何度も確認してお金を払った。

 日本って本当にゆったりした国なのかもしれないが。緊張感がなさ過ぎるのではないだろうか。用心する緊張感と誰でも疑って意固地になるのとは別だ。

 「騙された方が悪い」と考えるフランス人には到底理解できないだろうなと思う。まあ、フランスもそんなことを言うおかしいな人種ではあるが。

 おまわりさんと言えば、梅田の地下鉄からJRの横を過ぎて総合バス停車場へ行くわずか5メートルぐらいの信号のある横断歩道にいつも必ず二人のおまわりさんが立っていていらっしゃって、信号が変りかけたときに渡ろうとする人を威嚇して喜んでいる感じがする。

「ハイハイ、渡って」

「気をつけてください」

「ああ、止まって」

「渡ってはいけませんよ」

「ちょっと、あんた、ストップ」

「おばあちゃん、早く歩いて」

「さあ、さあ」

「何もたもたしてるの」

 時にはピッーと耳元で笛を吹かれる。わずか5メートルの横断歩道だから笛を吹かれると頭にキーンと響く。何せバスで大阪中を回ってやれ、と決心したので外に出るときは少なくとも二回はここを通らなければならない。

 いくらタクシーの通り道にもなっているからって。二人のおまわりさんに“黄色い旗”を持って、渡らしてもらうほど幼稚園児でもないでしょう。まあ、何もしゃべらないで一日中あんなところで立っているのもかわいそうではあるが。

 こういう配属は若いおまわりさんの忍耐をつけるための訓練用なのだろうか。

 

 以前、旦那とまだ生まれたばかりの娘を乳母車に乗せて、横断歩道を渡ろうとしたことがある。

信号は赤だった。私は渡りたくない。が、車は一台も来ない。旦那はさあと言って、肩を押した。待てよ。信号の向こうにはおまわりさんというより憲兵が二人いるのに。

案の定、

 「危ないじゃないか、青で渡りなさい」当然のことを言われた。

 そのとき旦那は何をカチンと来たのか、

「こんな日差しのキツイ中で、待っていられない。渡るのが当然だろう」

 そのときは真夏で本当に暑く、37度を超えるじりじりの南仏の太陽だった。

 「罰金をもらいたいのか」と憲兵も負けてはいない。

 「そんな日陰で二人でだべってないで、働けよ」と旦那はのたまったのである。

おお怖。断じて行えば鬼神もこれを避く。

彼らはさすがに怒ったが、これが真実だと信じて疑わない旦那には何も言えなかったのである。

 フランスは逆に信号が赤でも渡る人が殆どだ。車も来ていない道でボーっと待つ必要もないと言うのが彼らの考えである。もしフランスに旅行された人は一度は目にした光景ではないだろうか。

 ルーブルの前のリボリーのあの激しい道路も人によっては平気で信号無視して渡る。逆に旅行者の方が信号を守って止まっているところがある。それがパリに来ると自然にそうなんだと日本人も渡るようになる。

しかし、ひとつ注意しておきたいのは、いざ交通事故になると、歩行者も責任を負わされる事があると言うこと。

日本では殆どの場合歩行者の責任は問われない。車に乗っているものの責任が大だ。昔、私も日本で車を運転していて事故を起こしたこともある。簡単な接触事故だったが、警察にも足を運んだ。そのときの警察官はこう言った。

 「もう、車に乗っている。そのことが凶器をすでに持っていると一緒で犯罪なんですよ」そうなんだ。

そのとき、私の過失でもなかったのに、40%の過失になった。フランスには優先順位がはっきりしている。右側優先と言うのがあって、右側から来る車がどんなに変な来かたをしても、左側にいるほうが100%悪くなる。これもどうかとは思うが、確かにはっきりしている。ロータリーでは今度は左優先。

話はいつも混乱するが、いいたい事はフランス人はここでも自覚を持って渡っているということだ。だから自分が悪いというのを知ってやっている。いざというときは自己責任である。

 

でも、先ほどのおまわりさん、あんなところで偉そうにしなくとも、と言うか、もっと本当に役に立つ部署に配置できないものか。こちらも、そちらも幼児じゃあるまいしいくらなんでも、二人はいらないような気もしたのだが。他に車と歩行者が安心して共存できる方法を考えた方がいいのではないだろうか。


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